新しいことに挑戦したい、現状を変えたい…そう思っても、「失敗したらどうしよう」「自分には無理かもしれない」と不安が先に立ち、なかなか一歩を踏み出せないことってありますよね。
「気になるあの人に告白したい…でも、もし振られたら?」
「ずっと憧れていた仕事に転職したい…でも、今の安定を捨てるのは怖い」
「PTAの役員、本当はやりたいけれど、人前で話すのは緊張するし、他のママからどう思われるか不安…」
頭の中では色々なシチュエーションを思い浮かべ、どうすれば良いか悩む日々。
そんな時、力強い指針を与えてくれるのが、心理学者アルフレッド・アドラーの教え、アドラー心理学です。
この記事では、アドラー心理学における「勇気」について、会話形式で分かりやすく解説しています。
「自分を変えたい」「もっと自分らしく生きたい」「夢を実現したい」
…そう願う、すべての人の背中を押してくれる「本当の勇気」を手に入れる方法を、一緒に学んでいきましょう。
この記事を読めば、不安や恐れに負けない「折れない心」を育み、あなたが望む未来に向かって、自信を持って一歩踏み出せるようになるはずです。
アドラー心理学における「勇気」とは?
ちゃんこ先生:今日は「勇気」について、あなたの「勇気」が出せなかったエピソードを教えていただけますか?
タイキ:僕は大学のゼミでリーダーに立候補したいと思っているんですが、いつも不安が先に立って、なかなか行動に移せないんです。
「失敗したらどうしよう」「みんなに笑われたらどうしよう」と考えてしまって、結局いつも手を挙げられずに終わってしまいます。
ちゃんこ先生:なるほど、タイキさんは、ゼミのリーダーに立候補する勇気が出せない、と。
レイコ:私も、息子の学校のPTAの役員決めで、いつもためらってしまいます。
本当はやってみたい気持ちもあるんですが、「他のママから変に思われたらどうしよう」「うまく役割を果たせなかったらどうしよう」と考えると、怖くて手が挙げられません。
終わった後、いつも「ああ、やっぱり挑戦すればよかった」と後悔しています。
ちゃんこ先生:なるほど。レイコさんは、PTAの役員決めで、周囲の目を気にして、なかなか手を挙げられないんですね。
野沢:私も、今の仕事に不満があるわけではないんですが、他の仕事にも挑戦してみたいという気持ちがあります。
しかし、転職を考えると、新しい環境に飛び込む勇気がなかなか出ません。
「今の会社より条件が悪くなったらどうしよう」「新しい職場で人間関係がうまくいかなかったらどうしよう」と、不安ばかりが頭をよぎります。
ちゃんこ先生:野沢さんは、新しい環境で働くことへ挑戦することへ、不安を抱えているんですね。
では、皆さんが抱えている、その「勇気」が出ないという悩み、アドラー心理学の考え方から一緒に紐解いていきましょう。
アドラーは、「勇気とは、困難を克服する活力」だと述べています。
勇気は「困難を克服する活力」
野沢:困難を克服する活力、ですか。具体的にはどういうことでしょうか?
ちゃんこ先生:はい、野沢さん。人生には様々な困難や課題がつきものであり、それを乗り越えるためには「勇気」が必要だとアドラーは考えました。
そして、その「勇気」は、生まれつき備わっているものではなく、自分の意思で育んでいくことができるものだと説いているのです。
タイキ:「困難を克服する活力」という言葉は、少し漠然としていますね。
もう少し詳しく教えてもらえますか?
ちゃんこ先生:では、タイキさん。「困難」とは具体的にどんなものが挙げられますか?
タイキ:そうですね…先程例に出したゼミのリーダーに立候補することもそうですし、あとは…苦手な教科の単位を取るとか、人前で発表するといったことも、「困難」と言えるかもしれません。
ちゃんこ先生:良いですね。他にはどんなものが「困難」として挙げられるか、レイコさん、野沢さんいかがでしょうか?
レイコ:私は、子供の進路について、先生と面談することでしょうか。
緊張して上手く話せないかもしれません。
あとは、ママ友との関係で、言いたいことが言えずに我慢してしまうことも「困難」と感じることがあります。
野沢:私の場合は、新しいプロジェクトのリーダーを任されたり、大きな取引先にプレゼンをしたりすることが「困難」と感じます。
失敗したらどうしようと不安になります。あとは、自分の意見を上司に伝えることも、時々「困難」だと感じますね。
ちゃんこ先生:皆さん、素晴らしいですね。今、皆さんから挙げていただいたものは全て「困難」と言えます。
そして、それらに立ち向かうために必要なのが「勇気」なのです。
劣等感は成長のエネルギー
ちゃんこ先生:アドラーは、人間は「劣等感」を持つ生き物だと考えています。
タイキ:劣等感、ですか?なんだかネガティブな言葉ですね。
僕も、周りの学生と比べて、自分は能力が低いんじゃないかと感じることがよくあります。
ちゃんこ先生:そうですね。劣等感とは、他人と比べて自分が劣っていると感じたり、理想の自分に達していないと感じたりする時に生まれる感情です。
そして、人はこの劣等感を克服しようと努力する。
この努力を「優越性の追求」と言います。
野沢:劣等感は誰もが持っているものなんですね?
私も、同僚と比べて、自分のスキルが不足していると感じることがあります。
特に、新しい技術を習得するのが遅いと感じていて、劣等感を感じています。
ちゃんこ先生:その通りです、野沢さん。しかし、アドラーは劣等感自体は悪いものではなく、むしろ成長の原動力になると考えていました。
ただし、この劣等感に適切に対処できないと「劣等コンプレックス」に陥ってしまう危険性もあります。
レイコ:劣等コンプレックス…聞いたことはありますが、イマイチよくわかりません。
ちゃんこ先生:劣等コンプレックスとは、劣等感が強すぎて、自分には価値がないと思い込んだり、挑戦することを諦めてしまったりする状態です。
そして、この劣等コンプレックスを克服し、健全な「優越性の追求」を行うために必要なのが「勇気」なのです。
レイコ:なるほど。劣等感は、成長するためには必要なものなんですね。
私、子供の頃から引っ込み思案で、人前に出るのが苦手でした。
それがコンプレックスで、新しいことに挑戦するのを避けてきたかもしれません。
劣等感と向き合うことが、勇気を出すための第一歩なんですね!
アドラー流「勇気」の出し方:3つのステップ
タイキ:じゃあ、具体的にどうすれば勇気を出せるようになるんですか?
ちゃんこ先生:アドラーは、勇気を出すための具体的な方法として、以下の3つを挙げています。
自己受容:不完全な自分を認め、受け入れる
ちゃんこ先生:まず大切なのは、「自己受容」です。
これは、自分の長所だけでなく、短所や欠点も含めて、ありのままの自分を認めるということです。
レイコ:自分のダメなところも認めるって、難しいですよね…。
私、片付けが苦手で、家の中が散らかっていると自己嫌悪に陥ってしまいます。
ちゃんこ先生:そうですね。しかし、完璧な人間などいません。
誰しも欠点や苦手なことはあります。
大切なのは、「今の自分はこれでいいんだ」と、不完全な自分を受け入れることです。
そうすることで、心が軽くなり、前向きな気持ちで物事に取り組めるようになります。
例えば、人前で話すのが苦手な人がいたとしましょう。
自己受容ができている人は、「私は人前で話すのが苦手だけど、資料作りは得意だ」と、自分の得意なことにも目を向けられます。
野沢:なるほど。自分の良いところも悪いところも認めて、ありのままを受け入れることが大切なんですね。
私は、自分のコミュニケーション能力に自信がありません。
でも、プログラミングのスキルには自信があります。自分の強みと弱みを書き出してみようかな。
ちゃんこ先生:素晴らしいですね、野沢さん。自分の強みを認識することは、自己受容の第一歩です。
レイコさんの例で言えば、「片付けは苦手だけど、子供の気持ちに寄り添うのは得意」というように、自分の良い面にも目を向けてみましょう。
他者信頼:相手を信じる勇気を持つ
ちゃんこ先生:次に重要なのが、「他者信頼」です。
これは、相手の言動や結果に関わらず、相手の存在そのものを信じるということです。
タイキ:でも、もし裏切られたらどうするんですか?
僕は、以前、友人に大切なものを盗まれたことがあって、人を信じるのが怖くなったことがあります。
ちゃんこ先生:確かに、信頼した相手に裏切られることもあるかもしれません。
しかし、最初から相手を疑っていては、良好な人間関係を築くことはできません。
アドラーは、「信じる勇気」を持つことが大切だと説いています。
例えば、なにか新しいことを任された時、「自分には無理だ」と最初から諦めるのではなく、「きっと大丈夫、仲間も助けてくれる」と信じてみる。
そうすることで、前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになります。
レイコ:確かに、最初から疑っていたら何も始まりませんよね。
子供の友達関係でも、親が心配しすぎて過干渉になると、かえって子供の成長を妨げてしまうかもしれません。
まずは、子供を信じてみようと思います。
ちゃんこ先生:その通りです、レイコさん。野沢さんの転職の例で言えば、「新しい職場の人たちは、きっと良い人たちだ」と信じてみることも、他者信頼の一つですね。
他者貢献:他人の役に立つ喜びを知る
ちゃんこ先生:そして、3つ目が「他者貢献」です。
これは、見返りを求めず、他人のために何かをすることです。
野沢:他人に貢献することが、なぜ勇気に繋がるのでしょうか?
私は、自分の仕事で精一杯で、他人を助ける余裕なんてありません。
ちゃんこ先生:野沢さん、他人に貢献することで「自分は誰かの役に立っている」「自分には価値がある」という所属感や自己肯定感が高まります。
そして、この所属感や自己肯定感が、困難に立ち向かうための「勇気」の源泉となるのです。
例えば、ボランティア活動に参加したり、困っている人に手を差し伸べたりすることです。
小さなことでも構いません。誰かのために行動することで、自分自身の成長にも繋がり、それが勇気となっていくのです。
タイキ:なるほど!他人のために行動することが自分の勇気に繋がるんですね!
僕は大学のサークルで後輩の相談に乗るようにしてみます。
後輩の力になれるように、まずは話を聞くことから始めてみます!
ちゃんこ先生:それは素晴らしいですね、タイキさん!レイコさんの場合は、地域のボランティア活動に参加してみたり、ママ友の相談に乗ったりすることも、他者貢献になりますね。
レイコ:そうですね!私にもできそうなことから始めてみます。
まずは、近所のママ友に、悩みがないか聞いてみようかな。
ちゃんこ先生:野沢さんの場合、仕事で培ったスキルを活かして、社内で勉強会を開いたり、後輩の指導にあたったりすることも他者貢献になりますよ。
野沢:なるほど!それなら私にもできそうです。
自分の知識を共有することで、チーム全体のスキルアップに貢献できるかもしれませんね。
勇気が出ないときの対処法:小さな一歩を積み重ねる
レイコ:勇気を出したいと思っても、やっぱり不安で行動できない時ってありますよね。
そういう時はどうしたらいいんでしょうか?
例えば、あまり馴染みのないママ友のランチ会に誘われたけど、人見知りだし、話題についていけるか不安で断ってしまったことがあります。
ちゃんこ先生:そういう時は、まず自分の不安や恐れを認めてあげることが大切です。
タイキ:不安や恐れを認める、ですか?
僕も、新しいアルバイトを始めるとき、ちゃんと仕事を覚えられるか不安で、なかなか応募に踏み切れませんでした。
ちゃんこ先生:はい。不安や恐れを感じることは、決して悪いことではありません。
むしろ、自然な感情です。それを無理に抑え込もうとするのではなく、「今は不安なんだな」「怖いと感じているんだな」と、自分の気持ちを素直に認めてあげましょう。
野沢:認めた後はどうすればいいんですか?
私も、新しいプロジェクトを任された時、自分のスキルで対応できるか不安で逃げ出したくなることがあります。
ちゃんこ先生:次に、「小さな一歩」を踏み出すことを意識してみましょう。
いきなり大きな目標に挑戦するのではなく、達成可能な小さな目標を設定し、それを一つずつクリアしていくのです。
例えば、人前で話すのが苦手な人なら、まずは家族や友人の前で話す練習をしてみる。
そして、少しずつ人前で話す機会を増やしていく。
そうすることで、成功体験が積み重なり自信に繋がっていきます。
レイコ:小さな一歩なら、私にもできそうです!ランチ会も、まずは仲の良い近所のママ友と二人だけでお茶するところから始めてみようかな。
そして、徐々に人数を増やしていけば、いつかは大人数のランチ会にも参加できるようになるかもしれませんね。
ちゃんこ先生:その通りです、レイコさん。大切なのは、「完璧主義」にならないことです。失敗を恐れず、まずは行動してみる。そして、もし失敗しても、そこから学びを得て次に活かせばいいのです。
タイキさんのアルバイトの例で言えば、まずは興味のあるアルバイトの求人情報を調べてみることから始めてみましょう。
野沢さんのプロジェクトの例で言えば、まずは関連する書籍を読んだり、詳しい人に話を聞いたりして、情報収集から始めてみるのも良いでしょう。
よくある質問
- Q勇気が出ないとき、自分を責めてしまいます。どうすれば良いでしょうか?
- A
勇気が出ない自分を責める必要はありません。誰でも、新しいことに挑戦するときは不安や恐れを感じるものです。
まずは、「不安なのは当たり前」と自分の気持ちを認め、受け入れてあげましょう。
そして、「小さな一歩」からで良いので、できることから少しずつ行動に移していくことが大切です。
- Q他者信頼が大切だとわかっていても、人を信じることができません。どうすれば良いでしょうか?
- A
過去の経験から、人を信じることが怖くなることもあるでしょう。
しかし、最初から相手を疑っていては、良好な人間関係を築くことはできません。
まずは、身近な人を信じることから始めてみましょう。
例えば、家族や友人に自分の悩みや不安を打ち明けてみるのも良いでしょう。
そして、相手が自分の話を聞いてくれたという事実を、一つずつ積み重ねていくことで、徐々に他者信頼を育んでいくことができます。
- Q他者貢献をしたい気持ちはあるのですが、具体的に何をすれば良いかわかりません。
- A
他者貢献は、大きなことでなくても構いません。身近な人に感謝の気持ちを伝えたり、困っている人に手を差し伸べたりすることも、立派な他者貢献です。
また、自分の得意なことを活かして、誰かの役に立つこともできます。例えば、料理が得意な人なら、家族や友人に料理を振る舞ったり、ボランティアで炊き出しをしたりすることもできます。
まとめ
ちゃんこ先生:アドラー心理学における「勇気」とは、困難を克服する活力であり、自分の意思で育んでいくことができるものです。
自己受容、他者信頼、他者貢献を意識し、小さな一歩を踏み出すことで、誰でも勇気ある人になることができます。
この記事を読んで、皆さんが勇気を持って一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
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