「妻の機嫌が悪いときに、夫が責任を感じてはいけない。
不機嫌でいるか上機嫌でいるかは、妻の課題。
その課題を手に背負うから苦しいのだ。」
これは、アドラー心理学の創始者であるアルフレッド・アドラーの言葉です。
この言葉は夫婦関係だけでなく、あらゆる人間関係に応用できる重要な考え方を示しています。
この記事では、このアドラーの言葉の意味を対話形式でわかりやすく解説します。
さらに、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方、そして夫婦関係をより良くするためのヒントを探っていきます。
アドラーの言う「課題の分離」とは?
レイコ:ちゃんこ先生、今日のテーマは、アドラーの「妻の機嫌が悪いときに、夫が責任を感じてはいけない。」という言葉ですよね。
これって、どういう意味ですか?
ちゃんこ先生:この言葉を理解するためには、アドラー心理学の「課題の分離」という考え方を知る必要があります。
「課題の分離」とは、簡単に言うと「これは誰の課題なのか?」を明確にし、自分の課題と他者の課題を切り離して考えることです。
レイコ:うーん、ちょっと難しいですね。具体的にはどういうことですか?
ちゃんこ先生:例えば、レイコさんの旦那さんが不機嫌だったとします。
その時、「旦那さんを不機嫌にさせたのは自分のせいかもしれない…」と、レイコさんが責任を感じてしまうことはありませんか?
レイコ:はい、よくあります。何とかして機嫌を直してもらおうと、あれこれ気を遣ってしまいます。
ちゃんこ先生:それが、まさに「課題の分離」ができていない状態です。
旦那さんが不機嫌でいるか上機嫌でいるかは、旦那さんの課題です。
レイコさんの課題ではありません。
もちろん、レイコさんの言動がきっかけで旦那さんが不機嫌になった可能性もあります。
しかし、その場合でも、どのように感じるかは旦那さんの選択であり、旦那さんの課題なのです。
相手の課題に土足で踏み込まない
レイコ:でも、夫婦って、お互いに影響し合うものじゃないですか?
相手の課題を完全に無視するなんて冷たい感じがします。
ちゃんこ先生:もちろん、夫婦は支え合う存在です。しかし、相手の課題に土足で踏み込むことは、支え合うこととは違います。
相手の課題を尊重し、見守ることも、愛情の一つです。
レイコ:相手の課題に土足で踏み込む、ですか?
ちゃんこ先生:はい。
例えば先ほどの例で、レイコさんが旦那さんの機嫌を取ろうと無理に話しかけたり、プレゼントを贈ったりすることは、旦那さんの課題に土足で踏み込んでいることになります。
旦那さんが自分で気持ちを切り替える機会を奪い、依存心を強めてしまう可能性もあります。
レイコ:なるほど。良かれと思ってやっていることが、逆効果になることもあるんですね。
ちゃんこ先生:その通りです。
相手の課題を尊重し、適切な距離感を保つことが良好な関係を築くためには重要なのです。
責任を感じすぎる夫の心理
レイコ:でも、どうして夫は、妻の機嫌が悪いと、責任を感じてしまうんでしょう?
ちゃんこ先生:それは、多くの男性が、「家族を幸せにする責任がある」「妻を守るべきだ」という強い責任感を持っているからです。
それは素晴らしいことですが、過剰になると、妻の感情までコントロールしようとしてしまいます。
また、「妻を幸せにできない自分は、ダメな夫だ」と、自分を責めてしまうこともあります。
大切なのは、自分と相手の境界線を明確にすることです。
「妻の機嫌は、妻の課題。自分の課題ではない。」と、意識的に区別する練習をしましょう。
機嫌を取ろうとすることが、関係を悪化させる?
レイコ:でも、妻が不機嫌な時、何もしないでいるのはやっぱり気まずいですよね。
何かした方がいいんじゃないですか?
ちゃんこ先生:気持ちはわかりますが、機嫌を取ろうとすることが、かえって関係を悪化させることもあります。
例えば、夫が「どうしたんだ?」「何かあったのか?」としつこく聞くと、妻は「放っておいてほしいのに!」と、さらにイライラしてしまうかもしれません。
レイコ:確かに、そういうことってありますよね。
ちゃんこ先生:大切なのは、妻の気持ちを尊重することです。
不機嫌な理由を話したくない時もあるでしょう。そっとしておいてほしい時もあるでしょう。
夫は、妻の気持ちを察し、適切な距離感を保つことが大切です。
我慢するだけでもダメ
レイコ:じゃあ、妻が不機嫌な時は、何も言わずに我慢していればいいんですか?
ちゃんこ先生:それも違います。
「課題の分離」とは、相手を無視することではありません。
我慢するのではなく、妻の課題は妻の課題として尊重し、見守る。
そして、自分の課題に集中する。
それが、「課題の分離」の正しい理解です。
レイコ:自分の課題に集中する、ですか?
ちゃんこ先生:はい。例えば、仕事に打ち込む、趣味を楽しむ、友人との時間を大切にするなど、自分自身の人生を充実させることが大切です。
夫が生き生きと輝いていれば、妻も自然と良い影響を受けるでしょう。
ちゃんこ先生からのアドバイス
ちゃんこ先生:最後に、私からアドバイスをさせてください。
まず、妻が不機嫌な時は「これは妻の課題だ」と、心の中で唱えてみてください。
レイコさんの場合は、ダンナが不機嫌な時は「これはダンナの課題だ」と、心の中で唱えてみてください。
そして、深呼吸をして、冷静さを保ちましょう。
レイコ:心の中で唱える、ですね。
ちゃんこ先生:はい。そして、相手に「何かあったら、いつでも話を聞くよ」と、優しく声をかけてみてください。
ただし、しつこく聞くのはNGです。
相手が話したくなさそうであれば、そっとしておきましょう。
レイコ:話を聞く姿勢を示すことが大切なんですね。
ちゃんこ先生:その通りです。
そして、最も大切なのは、自分自身の人生を楽しむことです。
自分が満たされていれば、相手の機嫌にも振り回されにくくなります。
よくある質問
- Q妻の不機嫌の原因が、明らかに自分にある場合はどうしたらいいですか?
- A
まずは、素直に謝罪しましょう。
そして、今後同じことを繰り返さないように改善策を考えましょう。
ただし、謝罪した後は、奥さんが許してくれるかどうかは奥さんの課題です。
いつまでも引きずらず気持ちを切り替えましょう。
- Q妻から「もっと私の気持ちを理解してほしい」と言われたらどうしたらいいですか?
- A
奥さんの気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示しましょう。
ただし、奥さんのの気持ちを完全に理解することは不可能です。
「理解しようと努力している」という姿勢を示すことが大切です。
- Q課題の分離を実践することで夫婦仲が悪くなることはありませんか?
- A
適切な距離感を保ち、お互いの課題を尊重することで、むしろ夫婦仲は良くなるはずです。
ただし、いきなり態度を変えると奥さんが戸惑うかもしれません。
少しずつ実践していくことが大切です。
- Q妻がいつも不機嫌で、家庭の雰囲気が悪いです。どうしたらいいですか?
- A
奥さんの不機嫌には、何か深い原因があるかもしれません。
まずは話を聴く場をちゃんと設けて話し合ってください。
専門家(カウンセラーなど)に相談することも有効な場合もあります。
最後に
夫婦といえども別の人間です。
相手の感情を完全にコントロールすることはできません。
アドラーの「課題の分離」を理解し、実践することで、夫婦関係はより健全なものになるでしょう。
相手の機嫌に振り回されず、自分自身の人生を充実させることが、結果的に夫婦円満につながるのです。
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