「人生の意味の心理学」「嫌われる勇気」で有名なアルフレッド・アドラー。
彼の提唱する「アドラー心理学」は、現代社会を生きる多くの人々に、勇気と希望を与え続けています。
近年、自己啓発ブームもあり、アドラー心理学への関心はさらに高まっています。
そして、アドラーの思想に触れる中で、「彼の著作を自分のブログで紹介したい」「オリジナルの翻訳を出版したい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし、そこで気になるのが「著作権」の問題です。
アドラーの著作は自由に利用できるのでしょうか?
本記事では、アドラーの著作権について、わかりやすく解説します。
アドラーの思想をより多くの人に伝えたいと考えている方、必見です。
結論: アドラーの著作は「パブリックドメイン」
結論から申し上げますと、
アルフレッド・アドラーの著作権は、日本国内においては2017年12月31日をもって消滅しています。
アドラーは1937年に亡くなっており、日本の著作権法では、著作権の保護期間は著作者の没後70年と定められています(2018年12月30日に改正)。
つまり、アドラーの著作は現在、「パブリックドメイン」となっています。
パブリックドメインとは、著作権などの知的財産権が発生していない、または消滅した状態のことを指します。
アドラーの著作は、現在、誰でも自由に利用することができます。
パブリックドメインでできること: 自由な利用例
アドラーの著作がパブリックドメインになったことで、具体的にどのようなことができるようになったのでしょうか?
以下に、自由な利用例をいくつか挙げてみましょう。
- 翻訳: アドラーの著作を日本語に翻訳し、出版したりウェブサイトで公開したりすることができます。
- 出版: アドラーの著作をそのまま、または抜粋・編集して、書籍や電子書籍として出版することができます。
- 朗読: アドラーの著作を朗読し、オーディオブックやポッドキャストとして配信することができます。
- 上演: アドラーの著作を原作とした演劇を上演することができます。
- 映像化: アドラーの著作を原作とした映画やドラマを制作することができます。
- ウェブサイトへの掲載: アドラーの著作の全文または一部を、自分のウェブサイトやブログに掲載することができます。
- 引用: アドラーの著作から文章を引用し、自分のブログや書籍で紹介することができます(ただし、引用の範囲や方法には注意が必要です)。
このように、アドラーの著作は非常に自由度高く利用することが可能になっています。
知っておきたい注意点: 翻訳・編集著作物・人格権
アドラーの著作は自由に利用できるとはいえ、いくつか注意すべき点もあります。
ここでは、特に重要な「翻訳書の著作権」「編集著作物の著作権」「人格権」について解説します。
翻訳書の著作権
アドラー自身の著作の著作権は消滅していますが、特定の翻訳者が翻訳した「翻訳書」には、翻訳者に著作権が発生します。
翻訳書の著作権の保護期間は、翻訳者の没後70年間です。
したがって、特定の翻訳書を利用したい場合は、その翻訳書の翻訳者の著作権に留意する必要があります。
例えば、ある翻訳書の一部を引用したい場合は、出典を明記するなどの配慮が必要です。
また、翻訳書を丸ごとコピーして販売するような行為は、翻訳者の著作権を侵害することになります。
編集著作物の著作権
アドラーの複数の著作を集めた選集など、編集された著作物については、編集者に著作権が発生する場合があります。
この場合、編集著作物としての利用(例えば、選集のまま出版するなど)には、編集者の許諾が必要となることがあります。
人格権
著作権とは別に、著作者には「人格権」という権利があります。
人格権には、著作物を公表する権利(公表権)、氏名を表示する権利(氏名表示権)、著作物の内容を勝手に改変されない権利(同一性保持権)などが含まれます。
人格権は一身専属的な権利であり、譲渡や相続はできません。
そして、著作者の没後も、人格権を侵害するような行為をしてはならないとされています。
例えば、アドラーの著作を著しく改変し、あたかもアドラー自身の言葉であるかのように公表することは、人格権の侵害にあたる可能性があります。
アドラーの名誉や声望を害するような利用は避けなければなりません。
アドラーの思想を広めよう: 著作権を守って正しく活用
アドラーの著作がパブリックドメインとなったことで、彼の思想をより多くの人に伝えるためのハードルが大きく下がりました。これは、アドラー心理学の普及にとって、非常に喜ばしいことです。
しかし、自由に利用できるからといって、何でもして良いわけではありません。翻訳書の著作権や編集著作物の著作権、そしてアドラーの人格権に配慮し、適切な利用を心がけることが重要です。
著作権を正しく理解し、ルールを守ってアドラーの著作を活用することで、彼の素晴らしい思想をより広く、より深く、未来へと繋げていきましょう。
まとめ: アドラー著作権のポイント
- アドラーの著作権は、2017年12月31日をもって日本国内では消滅しています。
- アドラーの著作はパブリックドメインであり、誰でも自由に利用できます。
- 翻訳、出版、朗読、上演、映像化、ウェブサイトへの掲載、引用などが可能です。
- ただし、特定の翻訳書や編集著作物の利用には、翻訳者や編集者の著作権に留意する必要があります。
- また、アドラーの名誉や声望を害するような利用は避け、人格権を尊重しましょう。
さらに詳しく著作権について知りたい方は、文化庁のウェブサイトなどを参考にしてください。
【補足】アメリカなど他国での著作権について
本記事では、主に日本国内におけるアドラーの著作権について説明しました。
しかし、アメリカなど他の国では、著作権の保護期間が異なる場合があります。
例えば、アメリカでは著作権の保護期間が、著作者の没後70年、もしくは公表後95年または創作後120年のいずれか短い期間とされています(1978年1月1日以降に創作された著作物)。
そのため、アドラーの著作をアメリカで利用する場合は、アメリカの著作権法を確認する必要があります。
海外で利用する際は、利用する国・地域の法律を確認し、適切な対応を心がけましょう。
コメント