【アドラー心理学式】叱らずに気づきを与える。3つの具体例

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間違いをわからせるには、親しみのある話し合いをすればよい。
大切なのは、それができる信頼関係を築くことだ。

これは、心理学者アルフレッド・アドラーの言葉です。
人を育てる立場にある方なら、誰もが「どうすれば相手に間違いをわからせられるのか?」と悩んだことがあるのではないでしょうか?
今回は、アドラーの言葉をもとに、叱らずに相手に気づきを与え、成長を促す方法について解説します。

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なぜ「叱る」ことはダメなのか?

レイコ:ちゃんこ先生、今のアドラーの言葉ですが、そもそもなぜ「叱る」ことは良くないのでしょうか?

ちゃんこ先生:「叱る」という行為は、自分の感情を相手にぶつけ、力で相手をコントロールしようとすることです。
恐怖や圧力によって相手を従わせようとするので、一時的には効果があるように見えるかもしれません。
しかし、長期的に見ると、相手の自発性や考える力を奪い、結果として成長を妨げてしまうのです。
また、叱られた側は「自分はダメな人間だ」「どうせ自分なんて…」と自己肯定感を失い、自信をなくしてしまう可能性もあります。
これでは、信頼関係を築くことは難しいでしょう。

レイコ:なるほど…。ついカッとなって怒鳴ってしまうことがありますが、それだと逆効果なんですね。

ちゃんこ先生:そうですね。怒鳴ったり、頭ごなしに否定したりするのではなく、まずは相手の気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。

信頼関係が築けていないとどうなるのか?

レイコ:信頼関係が大切というのはわかるのですが、具体的にどういう状態のことですか?
あと、信頼関係がないとどんな問題が起きますか?

ちゃんこ先生:信頼関係とは、お互いに安心して、正直な気持ちを伝え合える関係のことです。
たとえば、困った時に助けを求められたり、自分の弱みを見せられたり、間違いを指摘されても素直に受け入れられたりする関係ですね。

ちゃんこ先生:信頼関係が築けていないと、コミュニケーションがうまくいかなくなります。
相手を信用できないから、本音を隠して、表面的な会話しかできなくなってしまう。
そうなると、お互いの理解が深まらず、誤解や対立が生まれやすくなります。結果として、問題解決が難しくなったり、一緒に仕事をする上で支障が出たりするのです。

相手に間違いをわかってもらうための「話し合い」とは?

レイコ:では、どうすれば相手に間違いをわかってもらえるのでしょうか?

ちゃんこ先生:アドラーは、「親しみのある話し合い」が重要だと言っています。
これは、相手を頭ごなしに否定したり、命令したりするのではなく、対等な立場で、相手の気持ちに寄り添いながら話し合うということです。

ちゃんこ先生:例えば、子供が宿題をやっていなかったとします。
そんな時、「なんで宿題をやっていないの!」と頭ごなしに叱るのではなく、
「今日はどうして宿題ができなかったのかな?」
「何か困ったことがあったのかな?」
と、まずは子供の事情や気持ちを聞いてみましょう。

ちゃんこ先生:そして、「そうだったんだね。それは大変だったね」と、子供の気持ちに共感することが大切です。
その上で、「でも、宿題はきちんとやった方が良いと思うんだ。お母さんは、あなたが宿題を頑張ってくれると嬉しいな」と、自分の気持ちを伝えます。
大切なのは、子供をコントロールしようとするのではなく、子供自身が考えて行動を変えるのを待つことです。

親しみのある話し合い3つの具体例

レイコ:親しみのある話し合いって、具体的にはどんな感じなんですか?イメージがわかなくて…。

ちゃんこ先生:そうですね、では具体的な例を3つ挙げてみましょう。

具体例① 子供がゲームばかりしている場合

ちゃんこ先生:子供がゲームばかりして勉強しない時、「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」と叱るのではなく、
「最近、どんなゲームしてるの?」
「そのゲームのどんなところが面白いの?」
…と、まずは子供の好きなことに興味を示してみましょう。

ちゃんこ先生:子供がゲームについて話してくれたら、「そうなんだ、面白そうだね」と共感を示します。
その上で、「でも、ゲームばかりしていると目が悪くなっちゃうし、お母さんは心配だな。少し時間を決めて勉強も頑張ってみない?」と、自分の気持ちを伝え、子供が自分で考えて行動を変えるのを待ちます。

具体例② 部下がミスをした場合

ちゃんこ先生:部下がミスをした場合、「なんでこんなミスをしたんだ!」と怒鳴るのではなく、
「このミスは、どうして起きたと思う?」
「次に同じミスをしないためには、どうすれば良いと思う?」
と、部下が自分で考えるように促します。

ちゃんこ先生:そして、部下の意見をしっかりと聞き、共感することが大切です。
「なるほど、そういう考えだったんだね」
「それは大変だったね」
と、相手の立場に立って理解しようとする姿勢を示すことで、部下は心を開き、自分の間違いを素直に認められるようになるでしょう。

具体例③ 友人が約束を破った場合

ちゃんこ先生:友人が約束を破った場合、「どうして約束を守ってくれないの!」と責めるのではなく、
「何かあったの?」
「心配したよ」
と、まずは友人の状況を確認してみましょう。

ちゃんこ先生:友人が理由を話してくれたら、「そうだったんだね。それは大変だったね」と共感を示します。
その上で、「でも、約束を破られると悲しいな。次からは、もし何かあったら連絡してくれると嬉しいな」と、自分の気持ちを伝えます。
大切なのは、友人を責めるのではなく、自分の気持ちを素直に伝え、友人が自ら行動を改めるのを待つことです。

信頼関係を築くには?

レイコ:信頼関係を築くことが大切だと分かりましたが、具体的にはどうすれば良いのでしょうか?

ちゃんこ先生:信頼関係を築くためには、日頃からのコミュニケーションが大切です。
まずは、相手の話をしっかりと聞くこと。
傾聴」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、相手の話を遮らず、否定せず、共感しながら聞くことです。
相手は「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じると、安心感を持ち、心を開きやすくなります。

ちゃんこ先生:また、相手の良いところを見つけて、積極的に褒めることも効果的です。
「いつも頑張ってるね」
「〇〇さんのそういうところ、尊敬してるよ」
など、具体的な言葉で褒めることで、相手との距離が縮まり、信頼関係が深まります。

普段から心がけたいコミュニケーション

レイコ:信頼関係を築くためには、普段からどんなことを心がければいいのでしょうか?

ちゃんこ先生:まずは、相手を尊重することです。
年齢や立場に関係なく、一人の人間として敬意を持って接しましょう。
そして、自分の意見を押し付けるのではなく、相手の意見にも耳を傾けることが大切です。
「自分とは違う意見だけど、そういう考え方もあるんだな」と、多様な価値観を認め合うことが、良好な人間関係を築く上で重要です。

ちゃんこ先生:また、感謝の気持ちを言葉で伝えることも大切です。
「ありがとう」「助かったよ」など、些細なことでも感謝の気持ちを伝えることで、相手は「自分のことをちゃんと見てくれている」と感じ、安心感を持ちます。
日頃から感謝の気持ちを伝え合うことで、自然と信頼関係は深まっていくでしょう。

よくある質問

Q
叱責と話し合いの違いは何ですか?
A

叱責は、相手を一方的に責め立て、自分の言うことを聞かせようとする行為です。
一方、話し合いは、相手の意見にも耳を傾け、お互いに納得できる解決策を見つけようとする行為です。
叱責は、相手を萎縮させ、反発心を招く可能性がありますが、話し合いは、相手の自発性を促し、問題解決につながります。

Q
信頼関係を築くには時間がかかりますか?
A

はい、信頼関係を築くには時間がかかります。日々のコミュニケーションの積み重ねが大切です。
相手の話をしっかりと聞き、共感し、感謝の気持ちを伝えることを心がけましょう。
また、約束を守ることも重要です。
小さな約束でも、守ることで相手からの信頼を得ることができます。

Q
間違いを指摘するのが苦手です。どうすれば良いですか?
A

間違いを指摘する時は、相手の人格を否定するのではなく、具体的な行動や事実に基づいて指摘するようにしましょう。
「あなたはいつもミスばかりする」と言うのではなく、
「この部分の数字が間違っているようです」と具体的に伝えることが大切です。
また、「私はこう思う」というように、自分の意見として伝えることも効果的です。
相手を傷つけないように配慮しながら、正直に伝えることが大切です。

Q
話し合いをしても、相手が聞く耳を持ってくれない場合はどうすれば良いですか?
A

相手が聞く耳を持ってくれない場合は、無理に話し合いを続けようとせず、一旦距離を置くことも一つの方法です。
相手の気持ちが落ち着いてから、改めて話し合いの機会を設けてみましょう。
また、第三者に間に入ってもらうことも効果的です。
共通の知人や上司など、信頼できる人に相談してみるのも良いでしょう。

最後に

「間違いをわからせるには、親しみのある話し合いをすればよい。大切なのは、それができる信頼関係を築くことだ。」というアドラーの言葉は、相手を力でねじ伏せるのではなく、対等な立場で向き合い、共に成長していくことの大切さを教えてくれています。
相手を尊重し、共感し、感謝の気持ちを忘れずに、日々のコミュニケーションを大切にしていきましょう。
そうすれば、きっと信頼関係は深まり、お互いにとってかけがえのない存在になれるはずです。

アドラーの教えは、相手を尊重し、対等な立場で話し合うことの重要性を説いています。
叱責ではなく、親しみのある話し合いを通じて、相手の気づきを促し、信頼関係を築くことが、真の問題解決と成長につながります。

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